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小坂俊史 「新婚よそじのメシ事情」

 (いきなりドアを蹴り開け、涙目で複雑な表情を浮かべながらツカツカとこちらに歩み寄り、バンッと机を叩いたかと思えば、開口一番)私は4コママンガが大好きです(出オチ)。幼少の頃、叔母の持っていた植田まさし大先生のフリテンくんにより開眼し(当時小3なので半分も意味は分からなかったが。分かったら逆に怖いが)サザエさんフジ三太郎などの新聞4コマを経て、色々な紆余曲折の果てに、ついに大学時代に大橋ツヨシ先生のエレキングという頂に到達し、いよいよ「4コマって面白ぇなぁ」と起承転結の世界に永住を決め込んだわけです(おおげさ)

 しかしこの時、私はまだ「4コマ専門誌」には足を踏み入れていませんでした。が、連日の実験実習にくたびれ果てたある日、家路の途中のコンビニで、何の気なしに4コマ専門誌であるまんがくらぶオリジナルを手に取りました。家に帰って気晴らしにマンガを読むにも、ストーリーを追う十数ページのマンガは何とも重たかったのです。で、4コマだったらサクッと読めるだろう、と考えたわけです。

 で、この時読んだ作品が重野なおき先生「グッドモーニングティーチャー」でありまして、主人公アズマの熱血に激烈に感動し、ヒロインのヨーコ先生の天然な激萌にときめいてしまった私は、しごくカンタンに重野先生のファンになりました。現在重野先生は戦国4コマ信長の忍びで大人気となり(もちろんそれ以前から人気はありましたよ)、しかし私はむしろ麻雀4コマ「雀荘のサエコさん」の方が好きだったりして、今も重野作品を追いかけています。

 

 さてそんな重野作品を追いかける中、私は例の如く熱帯雨林ふたりごと自由帳」という作品を見つけます。まだ熱帯雨林はカード決済メインだったので、急いで書店に走り、運よく見つけることが出来ました。これは重野先生が同人誌で発表した作品ということで、商業誌では書けないようないろいろと踏み込んだ内容の作品集でした。さて「ふたりごと」とありますように、この本には共著者がおりまして、これが小坂俊史先生であり、私はここで小坂作品を初めて読むことになりました。

 小坂先生の作品は重野先生よりもさらに奥へ踏み込んだ内容でして、それが小坂先生のさらっとした絵柄と相まって、より寓話性というか、人間の普遍的な側面をえぐり出しているように感じられました。一体この人は他にはどんな作品を描いているのだ?早速近所の本屋に足を運びますが、どういう訳か小坂作品はどこにも置いてありませんでした。結局私はそのまま小坂作品を追いかけるのを止め、いつしかその存在を忘れるのです。

 そして現在、「信長の忍び」の発売日をチェックしに熱帯雨林を訪れ、その時のオススメで小坂先生を思い出すのです。その作品こそ、今回ご紹介する「新婚よそじのメシ事情」というわけなのです(以上、毎度毎度の長い前置き終わり)。

 

 「新婚」とタイトルにありますように、この作品は長らく男やもめの覇道を謳歌していた小坂先生が、何を思ったか(無礼)40を過ぎて結婚し、奥さまが作るメシや自分のメシ癖(食習慣のこと。造語。変な日本語)について徒然と記した内容となっております。

 ここまで聞いて、普通なら「あぁ、嫁さんのメシがウマいとか、そういうハナシでしょ?」と浮世に掃いて捨てるほど存在するノロケ話を考えます。しかしそこは人間の業と原罪について一家言のある、現代のダンテたる小坂先生です(全部誇張アリ)。先述の通り、長らく男やもめで過ごしていたおかげで、フツーの新婚さんなら到底思いつかない心配事に頭を悩ませるのです。作中、子曰く(おおげさ)、

 

 「この歳(40歳)まで独身で、ひとり暮らし21年、在宅自由業(マンガ家)17年…。食習慣なんて、その間にただれにただれてしまった。」

 

 …とのこと。うん、わかるわかる。私も1人暮らしの学生時代、最初は物珍しさも手伝って、せっせと自炊をしていましたが、やがて米が酒になり、主菜はケンタッキーになり、副菜が緑のたぬきになりましたもん(飲みたいだけ)。おかげでブクブク太りましたし睡眠時無呼吸なんちゃらにもなりましたよ、ええ。もっとも小坂先生のただれっぷりには度肝を抜かれましたが。

 そんな「ただれた食生活」を長らく続けてきた先生、ここでいきなり「ちゃんとした家の出身」の女性と生活を共にすることになったらどうなるか?まさにメシ弱者による未知との遭遇もう想像するだけで面白いじゃありませんか!(非道)

 加えて先生は男やもめ故にアパートが魔窟となってしまい、交際中に奥さまを一度招いただけで、その上奥さまは実家暮らしのため、ビビッて奥さまのお宅にお邪魔することもなく、したがって先生は、まだ奥さまの手料理を食べたことがなかったのです。果たして奥さまの料理の腕前は…?もう愉快痛快ですね!(極道)

 その他、先生と奥さまの食に対する価値観の違い、先生による野郎メシ啓蒙活動、奥さまによるメシ矯正講座、先生のメシ幻想、奥さまのメシトラウマ、などなど、一口で「エッセーマンガ」というには幅がありすぎる内容となっております。

 

 

 ということで、本作品は野郎メシこそ世界の中心と考えていた小坂先生が、正しい食生活に触れて己の業の深さを噛みしめる「アラフォーオヤジメシあるある」と、しかしこれまで野郎メシも捨てきれない「揺れる中年ゴゴロ」を描いた、実にしょーもない傑作であります。取りあえずは立ち読みで小坂先生の壮絶なただれっぷりをご覧くださいな。お気に召されましたならば、是非1冊お買い上げいただいて、小坂夫婦のメシの充実にご協力くださいね(回し者)