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道満晴明 「メランコリア 上」

道満晴明 「メランコリア 上」 https://ift.tt/2EfBUJJ

 このところ新刊を次々と買いまして、そのどれもが面白く、桃源郷はニポンにあったのか!」と打ち震えましたので、今回からしばらくは「春の東映まんがまつり」と題しまして、オススメのマンガをご紹介しようと思います(意味が違う)。で、第1回の今回はわたくしめが敬愛する道満晴明先生の最新作メランコリアであります。

 

 道満先生と言えば、本ブログでも連作集「ニッケルオデオン」、長編「ヴォイニッチホテル」の2作品をご紹介いたしました。どちらの作品も1話が10ページ弱と短いのですが、しかしその内容はまさに奇想の一言。突飛で秀逸なアイデアエログロナンセンスの濁流となっており、しかも狙っているんだか狙ってないんだか、あっちこっちにブービートラップのごとく伏線を張り、見事な回収と共に鮮やかに幕が下りるという、場末の紙芝居屋でもこうはいかないだろうと唸ってしまう(例えが分かりにくい)、見事な構成を誇る作家さんなのです。

 またライトでポップな画風も道満先生の特徴で、登場人物たちの動きは非常に軽やかで、ぶっちゃけ女の子がみんなカワイイです。まぁ、道満先生は元々成人マンガ家ですから、カワイイ女の子を描くのは佐々木がフォークを投げるくらいにチョチョイのチョイでしょう(表現が古い)

 しかしそれらのキャラクター造形が不思議でカオスなストーリーテリングと合わさりますと、ライトな作画はどこか古代の壁画のように見え、物語は人間の普遍的な業を描いているように感じられ、一気に寓話性が高まります。読み手はまるで自分の心の中を見透かされているように感じられ、短いページ数の中に無限の奥行きを感じるのです。

 このように道満先生の作品をご紹介しますと、非常に哲学的でコムズカシイ印象を受けられるでしょうが、ご安心あれ、道満先生はキレッキレのギャグマンガですので、しっかりと爆笑ネタを仕込んでくれており、読み手に重苦しい雰囲気を感じさせません。不思議な話にドキドキし、バカ全開のギャグで爆笑し、読み終わってから妙に心に残る。それが道満先生なのです。

 

 さて、今回ご紹介する作品「メランコリア」は「ニッケルオデオン」同様に連作集であり、1話が12ページと短いです。内容はタイトルが「メランコリア」としてある通り、何かしら気分の晴れない人たちを描いています。引きこもってるうちに世界の終末を迎えてしまった女、謎の新薬の治験に参加した男、オンラインゲームでダンジョンを作る少女、突然女の子になってしまった少年…。登場人物の誰もが、鬱屈した想いを抱いています。

 一見、陰鬱憂鬱陰々滅々とした内容に思えますが、そこは短編の名手である道満先生ですので、小気味よく起承転結を刻んで物語に引き込み、またやっぱり道満先生ですので、ギリギリアウトなギャグでしっかりと笑わせてくれます。また先述の通り、道満先生は元々成人マンガ家なので、本作でもついついうっかり成人成分を仕込んでしまったりして非常にユカイです(諸手)。ネタバレを避けるためにこれ以上深くはご紹介出来ませんが、ちょっと変わったお話を読みたい方にはうってつけでしょう。

 また本作は連作集なので個々の物語は独立していますが、ところどころでクロスオーバーしており、意外な人物同士が繋がっていたり、ある登場人物の別の側面が垣間見られたりと、物語そのものだけでなく、物語世界の背景も自然と窺わせてくれる構成となっており、この仕掛けもまた物語の奥行きを感じさせることに一役買っていると言えるでしょう。

 

 さて、タイトルがメランコリア とありますように、おそらく次は「下」であり、全2巻で完結ということになるでしょう。そもそも各エピソードのタイトルの頭文字が「A」、「B」、「C」と続いており、上巻では「M」まで行ってしまいましたので、単純計算でもやはり次の巻で終わりでしょう。もっと読みたいんだけどなぁ。とはいえ、月刊誌連載なので下巻の発売は1年後。それまでゆっくりと待つといたしましょう。

 しかし道満先生ってのは基本的に短編を手掛ける作家さんなので、あちこちに連載しても単行本になかなかならない、したがってあまり世間に知られない、だからあまり売れない、という非業の作家さんなんですよね。ですからここはみなさんでドカンと単行本を買って、道満先生にヴァンパイアハンターの基盤代でもこしらえようではありませんか(道満先生はこのゲームの「レイレイ」が大好き)

 ということで、「なんか面白そうじゃのう」と思っちゃった方はこちらの熱帯雨林で詳細をご確認ください。で、すぐさま書店に走って購入し、存分に道満節をお楽しみくださいね(回し者)



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